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条文を追っかける(昨日の答え) [条文を追っかける]

twitterで昨日の答えをと思っていましたが,字数制限があって大変だと気がつきました。そこで,ここで答えです。

吸収合併存続持分会社において,総社員の同意を要するのは,「吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員が吸収合併存続持分会社の社員となるときに限る」つまり,吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員が吸収合併存続持分会社の社員となるときには,原則として,総社員の同意を要する。

どうして,このような規定となっているか。持分会社の社員間には,緊密な信頼関係があるから・・・そう言っておけばなんとか理由がつくというのもありますが・・・。
ここはきちんと正確にいきましょう。吸収合併持分会社の社員になる場合に限るというのですから,社員の加入となる場合であると言っていいですよね。社員の氏名又は名称及び住所は,定款の絶対的記載・記録事項です(576条4号)。会社法604条には社員の加入は原則として当該社員に係る定款の変更をした時に,その効力を生ずるとあります。定款の変更は,原則として(定款で別段の定めをした場合は別として),総社員の同意を要することとされています(会社法637条)。したがって,吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員が吸収合併存続持分会社の社員となるときには,社員の加入の場合と同様に,合併契約について,総社員の同意を要するとしたんだということです。書きながら,まわりくどく書いてるかなとふと思いました。社員の加入の場合と同様に,吸収合併契約について総社員の同意を要求したのですでいいかもしれませんね(これだと140字以内に納まります)。

条文を追っかける(1) [条文を追っかける]

次の問題,あなたは,○としますか,×としますか?
「吸収合併存続会社が持分会社であるときは,定款に別段の定めがある場合を除き,吸収合併の効力発生日の前日までに,吸収合併契約について当該持分会社の総社員の同意を得なければならない。」

「会社法は,条文である。条文だけ読んでおけば点が取れる。」という受験生がいるとか・・・多いとは思えませんし,本気で言っているのかは大いに疑問ですが(読んですっと頭に入るのであればこれに異論はありません,すっと入らないものが多いから問題なのであって…ぶつぶつぶつ…)。会社法は,その条文の表現が回りくどいものがいっぱいあるし,条文をひとつ読めばいいのではなく,他の条文を追っかけなくてはゴールしないというものが結構あってわかりにくいと思いませんか。立法担当者は,わかりやすい会社法を目指したはずなのになあと思いながら(現代語化にあたっては,通常人が読み解けるものをと考えたと思うのです),「体系書 会社法」の原稿(PC)に向かうことがたびたびでした。

条文を追っかけるものを取り出せば,役に立ち,頭の中に残るのでは…と思ったので,書くことにしました。条文をみんなで読もうよ,みんなで読めばこわくない,というところでしょうか。

その条文です。まず,会社法802条1項です。2項に準用及び読替え規定があります(苦手です。しかし,体系書書くためには一字一字読まなければなりませんでした)。

会社法802条1項柱書
「次の各号に掲げる行為をする持分会社(以下この条において,「存続持分会社等」という。)は,当該各号に定める場合には,効力発生日の前日までに,吸収合併契約等について存続持分会社等の総社員の同意を得なければならない。ただし,定款に別段の定めがある場合は,この限りではない。」定款で排除できるというのは,持分会社における定款自治で立法の基本方針のようなものですね。次の各号に掲げる行為とあります。吸収合併,吸収分割,株式交換に分けてあります(このようにまとめて規定したために却って読みにくくなっているような気がします)。

1号に掲げる行為をする持分会社…1号とは
「一 吸収合併(吸収合併により当該持分会社が存続する場合に限る。) 第751条第1項第2号に規定する場合」
括弧書は,存続会社が持分会社である場合のことですよと言っています。

会社法751条第1項第2号を見ない限り,まだ,わからないですね。柱書だけで,おっ!この問題は,正しい記述であると思ってはいけません。2号を見るのを面倒がってはいけません(しかし,面倒!)。面倒と思ったら,わからないままです。で,その会社法751条1項には,持分会社が存続会社である場合の吸収合併契約で定めるべき事項が書いてあるわけですが,その2号には,
「吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員が吸収合併に際して吸収合併存続持分会社の社員となるときは,次のイからハまでに掲げる吸収合併存続持分会社の区分に応じ,当該イからハまでに定める事項
イ 合名会社 当該社員の氏名又は名称及び住所並びに出資の額
…以下略」とあります。

一つだけ追っかければよかったから,大したことはなかったかもしれませんね。

つまり,吸収合併存続持分会社において,総社員の同意を要するのは,「吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員が吸収合併存続持分会社の社員となるときに限る」のですね。だから,私は,これを×とします。

長かったでしょうか。私の書いたものの方が回りくどいと言われそうな気もします。
では,どうしてでしょう。理由を考えてみてください。

無記名社債権者の議決権の行使 [会社法いろいろ]

司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法230は,議決権を行使しようとする無記名社債の社債権者は,社債権者集会の日の1週間前までに,その社債券を供託しなければならない。○か×か。でした。解答は,×ですね。https://twitter.com/ueda_m

間違っているところは2文字なので注意しなければなりません。「供託」ではなく,「提示」です。供託までしなくても提示で足りるということです。旧商法が供託としていたのを会社法が提示で足りるとしたわけです。無記名社債とは,どういうものか,くどいほど書きましたから,もういいと思いますが,ともかく,社債発行会社・社債管理者は,社債権者の氏名又は名称及び住所を知りません。社債原簿と照合するというわけには行きません。しかも,わが国では,ほとんどが無記名社債です。

この改正案(要綱案)の説明会だったと思うのですが・・・江頭先生の説明だったか,はたまた立案担当者の説明だったか・・・ほかの方だったか(多分江頭先生,九段会館で,と思うのですが記憶間違いかもしれません),次のような話をされました。社債権者集会を開くのは,大変である。というのは,証券会社が保護預かりをしているものについて,証券会社の社員が大量の社債券を供託所に運搬しなければならないのでそれはそれは大変だと・・・。聞きながら頭の中に汗をふきふき車に社債券を運び込む証券会社の社員の姿を思い浮かべました。もちろんコストもかかっていたはずです。これを会社法は,提示で足りるとして合理化しました。何年か経って,証券会社で社債券を供託所に運んだことのある人が,社債権者集会が開催されるときに,担当の後輩達に,昔は大変だったよ・・・という話をするかもしれません。

条文です。会社法723条2項「議決権を行使しようとする無記名社債の社債権者は,社債権者集会の日の1週間前までに,その社債券を招集者に提示しなければならない。」

司法書士試験午前の部 H20年28問ウ [過去問]

今日も,司法書士試験受験生のためのCheck Test 過去問商法165の校正をしていました。なんとか今日中に終わりそうです。それで,ブログをどうするかと考えたのですが,今日は(も),時間の関係上,その中から,そのまま持ってこようと思いました。なぜこの問題かは,一応理由があります。このようにきちんと書こうと思ったのです(会社法95条と98条とのコラボ?,条文のコラボという表現していいのかな)。

第4問
募集設立における発起人は,創立総会終了後において定款に発行可能株式総数の定めが設けられていない場合には,会社の成立の時までに,その全員の同意によって,定款を変更してその定めを設けなければならない。

〈×です〉。
会社法は,発行可能株式総数については,定款作成時に定めなくても,株式の引受けの状況や失権の状況を見極めながら,株式会社の成立の時までに定めればよいとしていますが,募集設立においては,発起人以外の設立時株主がいるため,創立総会を開催することとされていますから,払込期日又は払込期間の初日までであれば,発起人全員の同意によって,定款を変更して発行可能株式総数を定めることができますが,それ以後は,株式会社の成立の時までに,創立総会の決議によって,定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければなりません(会社法95条,98条)。
 H20年第28問ウの出題です。

条文を確認したら,ついでに,H18年32問イを解いてみてください。



平成21年度午前の部第32問イ [過去問]

3月24日の記事について,質問が寄せられました。昨年度の司法書士試験午前の部第32問イについて書いたもの(無記名社債の譲渡についての社債発行会社に対する対抗要件)に対する質問です。

そこで,昨日,それに対する解答として,本欄に書きましたが,もう少し,考えかつ調べたいので,3月24日付記事をしばらく除いておこうと思います。ご了承ください。これに伴い,3月23日分も一部,削除したいと思います。


司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法の解説 [会社法いろいろ]

今日は,twitterの司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法の解説です(昨日の問題です)。

まず,司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法216.会社は,定款で,社債原簿管理人を定め,当該事務を行うことを委託することができる。○か×か。

解答 ×です。どこが×かというと,「定款で」の部分が×ですね。株主名簿管理人の場合には,定款の相対的記載・記録事項です(会社法123条)。これに対して,社債原簿管理人は,定款の相対的記載・記録事項とはされていませんから,定款で定める必要はありません。理論的な説明としては,株主と直接関わらないことからというのですが(近藤光男「最新株式会社法」P350),これによって機動的に社債原簿管理人を定めることができ,社債を機動的に発行することができます。また,社債の種類によって社債原簿管理人を定めたり,定めなかったり,社債の種類ごとに社債原簿管理人を定めることができるということになります。







募集社債の打切り発行の原則 [会社法いろいろ]

 司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法212.社債の応募額が社債の総額に達しないときは,社債全部が不成立となるが,募集事項として定めれば,社債の応募額の限度で社債を発行することができる。○か×か。 正解は,×です。 正解を○だと考えた方も多いのではないでしょうか。

 今日は,この問題の解説です。条文は,どこを見ればよいかというと,会社法676条11号です。会社法676条は,募集社債の募集事項を定めているのですが,11号は,定めるべき募集事項として「一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける旨を定めていない場合において,募集社債の全部を発行しないこととするときは,その旨及びその一定の日」としています。この条文は,打切り発行を原則とするよと言っているのです。もし,打切り発行にしない(つまり,応募額が社債の総額に達しないときは,全部について発行しない(社債不成立)とするのであれば),それを募集事項で定めなさいね,と言っているわけで,募集事項で定めていないのであれば,応募額で社債は成立するからね,というわけです。わかりにくい条文だと思いますが,これは,旧商法が逆であったことを知る者にとっては,そうかなるほどという箇所です。つまり,旧商法時代には,打切り発行とするためには,社債申込証の用紙にその旨を記載する必要があったのです。記載していなければ,応募額が社債の総額に達しないときは社債全部が不成立となっていたのです。このような取扱いは,理論的根拠に乏しいではないかということと,募集株式の発行とのバランスから,打切り発行が原則とされたものです。

会社分割の場合の分割会社及び承継会社の株主,種類株主保護の問題 [会社法いろいろ]

 会社分割の場合です。ここでは,会社法では,物的分割だけなんだ,人的分割に当たるものは廃止されたんだということが大事です(会社法758条4号の柱書の吸収分割会社に対してのところを赤鉛筆で囲んでおく,763条6号,8号柱書の新設分割会社に対してもそうです)。物的分割は,分割対価を分割会社に交付するもので,人的分割は,分割会社の株主・社員に交付するというものです。

 合併の消滅会社に当たるのが,分割会社であるわけですが,分割会社の株主,種類株主の保護のための株主総会,種類株主総会の特殊決議に関する規定がありません。どうしてか,分割対価は,株主ではなく,分割会社に交付されるからというのがその理由です。そこで,分割会社において,吸収分割契約の株主総会における承認決議は,常に,特別決議ということになります。

 では,分割承継会社の方はどうでしょうか。分割承継会社は,合併の存続会社に当たるものです。問題は,持株比率ですね。影響を受けることがありますね。まず,種類株主総会の特別決議から。「吸収分割承継株式会社が種類株式発行会社である場合において,吸収分割会社に対して吸収分割承継株式会社のある種類の株式を交付する場合に,その種類の株式が譲渡制限株式であって,定款で当該種類株式の募集について種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがないものについては,その種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては,当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の特別決議がなければ,その効力を生じない(会社法795条4項,324条2項6号)。ただし,当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は,この決議は不要である(会社法795条4項ただし書)。」
 株主総会については,もともと特別決議ですが,略式分割及び簡易分割を認めないということで分割承継会社において株主総会の特別決議を要するとするわけです。すなわち,「吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が吸収分割承継株式会社の譲渡制限株式である場合であって,吸収分割承継株式会社が公開会社でないときは,略式分割は認められない(会社法796条ただし書)。吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が吸収分割承継株式会社の譲渡制限株式である場合であって,吸収分割承継株式会社が公開会社でないときは,簡易分割は認められない(会社法796条3項柱書のただし書)」。




株式交換における株主総会・種類株主総会の特殊決議,種類株主総会の特別決議 [会社法いろいろ]

くどいようですが,株式交換です。

(1)株式交換完全子会社の株主総会,種類株主総会の特殊決議です。株式交換完全子会社は,合併の消滅会社に当たるものですね(解散はしませんが)。

(ア) 単一株式発行会社
 株式交換完全子会社が公開会社であり,かつ,当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合には,株主総会の特殊決議を要する(会社法309条3項2号)。これは,合併と同様,株式交換により譲渡性の低い対価を交付される株主の保護を図るためです(商事法務№1753 P39参照)。

(イ) 種類株式発行会社
 株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において,株式交換対価の全部又は一部が譲渡制限株式等であるときは,当該株式交換は,当該譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては,当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の特殊決議がなければ,その効力を生じない(会社法783条3項本文,324条3項2号)。株式交換により譲渡性の低い対価を交付される種類株主の保護ですね。

(2) 株式交換完全親株式会社 合併における存続会社に当たります。

(ア) 単一株式発行会社
 特別決議。略式交換及び簡易交換は認めないとしています。株式会社交換完全親株式会社が特別支配会社であっても,株式交換対価の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合であって,株式交換完全子会社が公開会社であり,かつ,種類株式発行会社でないときは,株主総会の決議を省略することはできない(会社法784条1項ただし書)。なお,株式交換完全子会社が株式交換完全親株式会社の特別支配会社である場合について,会社法796条1項ただし書参照です。簡易交換は,会社法796条3項柱書のただし書参照です。

(イ) 種類株式発行会社
 株式交換完全親株式会社が種類株式発行会社である場合において,株式交換完全子会社の株主に対して株式交換完全親株式会社のある種類の株式を交付する場合に,株式交換は,その種類の株式が譲渡制限株式であって,定款で当該種類株式の募集について種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがないものについては,その種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては,当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の特別決議がなければ,その効力を生じない(会社法795条4項3号,324条2項6号)。

新設合併における・・・ [会社法いろいろ]

 昨日まで,吸収合併における株主総会・種類株主総会の特殊決議,特別決議を問題にしてきましたが,新設合併もやっておかないと,なんとなく落ち着かない(?終わった感じがしない?)という気になったので,新設合併です。

 新設合併だから,存続会社の株主の保護なんて問題はないから,楽ですね。

 消滅する単一株式発行会社の株主保護・・・譲渡性の低い株式を取得することになるという問題ですね。従って特殊決議です。どのような場合に特殊決議か?会社法309条3項3号です。3項は,特殊決議です(同条同項柱書参照のこと)。条文は,第804条第1項の株主総会(合併又は株式移転をする株式会社が公開会社であり,かつ,当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る)・・・まわりくどいな・・・ストレートに書いてもいいだろうに・・・つまり,新設合併の場合には,新設合併消滅株式会社が公開会社であり,かつ,当該株式会社の株主に対して交付する合併対価が譲渡制限株式等であるときは,株主総会の特殊決議がいるよとなっています。

種類株式発行会社の(種類)株主保護・・・譲渡性の低い株式を・・・というのは同じですね。だから,特殊決議です。また,まわりくどい括弧書がありますが,会社法324条3項2号,804条3項です。新設合併の場合・・・「体系書 会社法 下巻」の原稿からひっぱってきますね。
 「新設合併消滅株式会社が種類株式発行会社である場合において,合併対価の全部又は一部が譲渡制限株式等であるときは,当該新設合併は,当該譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては,当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の特殊決議がなければ,その効力を生じない(会社法804条3項本文,324条3項2号)。この場合にも,譲渡制限株式でない種類の株式の種類株主が譲渡制限株式等を取得することになり,保護を要するからである。当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は,この決議は不要である(会社法804条3項ただし書)。」

 以上ですとしたいところですが,さきほど株式移転があったよな・・・株式交換・株式移転も書いておかなくてはならないのかな・・・もういいかな・・・しつこいかな・・・しつこいの嫌われるしな・・・などと頭を掠めたのでした。それから,会社分割がなかったな・・・んーーん。明日,明後日ですね。

合併における株主総会の特殊決議 [会社法いろいろ]

 合併において種類株主総会の特殊決議を要する場合,種類株主総会の特別決議を要する場合について書きましたが,今日は,単一株式発行会社についてはどうかです。

 その前に思い出しておきます。消滅会社と存続会社,誰をどのような理由で保護しているのか。特殊決議はどちらか,特別決議はどちらか。譲渡性が低くなる方が特殊決議ですね。譲渡制限を設定する場合と同じ考え方です。持株比率の低下は,特殊決議とするまでもないでしょうということで,特別決議です。

 では,単一株式発行会社です。したがって,株主総会になるわけですが,特殊決議は,さてどちらか。譲渡性の低下の方ですから,消滅会社となります。その説明です。

 「合併により消滅する株式会社が公開会社であり,かつ,当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等であるときは,株主総会の特殊決議を要する(会社法309条3項2号)。これは,合併により譲渡性の低い対価を交付される株主の保護を図るためである(商事法務№1753 P39参照)。譲渡制限株式等とは,譲渡制限株式(会社法2条17号)又は取得条項付株式もしくは取得条項付新株予約権であって取得と引換えに譲渡制限株式が交付されるものをいう(施行規則186条)。吸収合併消滅株式会社が公開会社であり,吸収合併存続株式会社が非公開会社であるからといって,当然に吸収合併消滅会社の株主総会の決議が特殊決議となるものではない。「体系書 会社法 下巻」(近刊)から。

 では,単一株式発行会社が存続会社である場合の存続会社の株主保護は?持株比率の問題ですね。存続会社が非公開会社で消滅会社の株主に合併対価として存続会社の株式を交付する場合には,株主総会の特別決議を要する・・・あれれ,もともと特別決議ではないか・・・そうなのですが,この場合に,立法者は,略式合併も簡易合併もできないとして,必ず,株主総会の特別決議を要するものとしました(会社法796条1項ただし書,3項ただし書)。

 この機会に表を作って見てください。簡単にできると思います。キーワードを忘れないように。

馬上ならぬ車中の書 [枕頭の書]

 枕頭の書その1を書いて,眺めてみたら,その作家の本が出たらほとんどすぐに買って読むというものが入っていないのに気がつきました。5人ほど。浅田次郎,大沢在昌,佐伯泰英,恩田陸,重松清各氏の小説。ただし,最初の2人については出ればすべて買いますが,後の三者は,買わないものもあります。以下敬称略です。
 
 なぜ枕元にないか。ほとんどが車中で読む本だったからです。車中で一気に読んでしまう本。小説というのは,布団の中で読むと眠れなくなるというか,睡眠時間が減っていきますよね。だから,電車にほとんど乗らなくなった今では,布団の中で読むほかないのですが,上記のうち,特に前三者は,まちがいなく睡眠時間を考えながらということになります。

 このうち,今日は,佐伯泰英です。3シリーズ読んできました。「居眠り磐音 江戸双紙」,「交代寄合衆異聞」「密命」です。吉原シリーズは,本屋さんで横目で見ています。居眠り磐音がいつまでつづくのか,徳川家基が亡くなるまでつづくのでしょうね。歴史上のことなので阻止しようがないからどうするのだろうなどと思っています。居眠り磐音を読むと,自分は,人に優しくしているだろうかと反省してしまいます。でも,心がささくれ立っているときは,これを読むと治まる気がします。居眠り磐音江戸双紙読本も本棚にあります。本所深川は,この本がでる前によく歩きましたが,時間ができたら,この読本の地図を見ながら,歩きたいと思っています。

「交代寄合衆異聞」は,幕末なので,どのように展開していくか,これも楽しみです。ヒーローだけでなく,ヒロインもとても魅力的です。
「密命」は,途中で挫折してしまいました。


単一株式発行会社とか特別な普通決議とか [体系書 会社法]

 どこのカテゴリーにしようかと迷いましたが,結局,「体系書 会社法」としました。

 用語というかネーミングの問題です。
 会社法は,第2条あるいは各本条に定義規定を置いているので,体系書を書く場合には,とても便利です。これをどこかで書いておいて,それを前提にして書き進んでいけばいい。読む側は,定義規定をしっかり読んで理解しておくと,ずいぶんと読みやすくなります(その前に慣れが必要かもしれません)。しかし,すべてがそろっているわけではないし,定義付けとは言わないけれど,用語としてどこかに書いておいてくれるといいんだけどというのがありますね。例えば,その対立概念です。公開会社に対して・・・そりゃ公開会社でない(株式)会社といえばいいのでしょうが,取締役会設置会社に対して,取締役会設置会社でない株式会社・・・。そこで,学者,実務家等々,それぞれ用語を作り出すことになります。どれが支配的になるか・・・。数年前に会社法を書くとき迷いましたね。いちばんは,取締役会設置会社でない株式会社。不がいいのか,非がいいのか,いずれかとしても,どこにその漢字をいれるのか。今どれが支配的になったのでしょうか。非が結構多いようにも思いますが,どうでしょうか。私は,いずれもどうもしっくりこないので,まわりくどいようだけど,取締役会設置会社以外の株式会社あるいは取締役会設置会社でない会社(株式会社)です。江頭先生は,取締役会設置会社以外の会社ですね。公開会社に対する非公開会社でいいだろうと思うのですが,それでも公開会社でない株式会社とか,全株式譲渡制限会社(江頭先生はこれです)というのもあります。

 用語の問題と言えば,債権者保護手続・債権者異議手続の問題があります。債権者保護手続とずっと使われてきたはずですが,会社法の条文見出しに「債権者の異議」と入ったからでしょうか,債権者異議手続とする文献も見かけるようになりました(江頭先生がそうですが)。前田先生は,債権者保護手続です。松井判事(商業登記ハンドブック)も,債権者保護手続です。しかし,司法書士試験では,午前の部,18年29問では,債権者保護手続,21年33問では債権者の異議手続でした。

 さて,標題の件になかなかたどりつかなかったのですが・・・。種類株式発行会社でない株式会社がつまり単一株式発行会社です。これは,松井判事の商業登記ハンドブックで初めて目にして,これはいいと思ったので,使わせてもらってます。種類株式発行会社でない・・・まわりくどい・・・ほかにもまわりくどいものはありますが・・・。特別な普通決議もなかなかいいなということで使わせてもらっています。株主総会だけでなく,種類株主総会でも特別な普通決議が使われます。気に入ったネーミングが一般的になればいいなと書きながら思います。

 今,思いついたことですが,これって,まわりくどいよねっていうのを集めてみませんか。他の法令でもいいのです。ためておいて,私が,集まりましたかっていつかこのブログででも声をかけてみましょうか。


合併における種類株主総会の特殊決議 [会社法いろいろ]

 吸収合併における消滅会社である乙株式会社がA種類株式(譲渡制限株式)とB種類株式を発行する種類株式発行会社である場合において,甲株式会社が非公開会社であり,甲株式会社の株式を合併対価とするときは,B種類株式の株主を構成員とする種類株主総会の特殊決議を要する。これは,正しい記述です。

 今回は,消滅会社(乙株式会社)の株主(B種類株式)の保護の問題です。前回,種類株式発行会社を問題としていましたから,今回も,種類株式発行会社とします。単一株式発行会社は,いずれまた。

 吸収合併消滅株式会社が種類株式発行会社である場合において,合併対価の全部又は一部が譲渡制限株式等であるときは,当該吸収合併は,当該譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては,当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の特殊決議がなければ,その効力を生じないとされています(会社法783条3項本文,324条3項2号)。これは,合併により譲渡性の低い対価を交付される種類株主の保護を図る必要があるからというのがその理由です。本問では,存続会社が非公開会社で,発行する株式の全部が譲渡制限株式ですから,合併対価が存続会社の株式ということであれば,消滅会社の株主は,譲渡制限株式を取得することになり,譲渡制限のない株式を有していたB種類株主は,譲渡制限のある株式を取得することになるわけです。
しかし,A種類株式は,もともと譲渡制限のある株式です。吸収合併消滅株式会社の種類株式が譲渡制限株式である場合(A種類株式)には,種類株主総会の決議は不要とされています(会社法783条3項本文括弧書)。もともと譲渡制限株式で譲渡性が低下するわけではないというのですね。なお,当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合にも,この決議は不要とされていますが(会社法783条3項ただし書),これは言うまでもないことですが,念のためというところでしょうか。
結局,このような問題は,存続会社の株主の保護が問題となっているのか,消滅会社の株主の保護が問題になっているのかを確認して,前者の場合には,持株比率の低下の問題,後者は,株式の譲渡性の低下の問題として理解しておきます。

 前者は,非公開会社の株主あるいは譲渡制限株式の株主は,持株比率の維持に重大な関心を有するからとか,持株比率が重要性を有するからとかいう理由で保護するのだといいますが,どういう意味か,また,いつか書くことにします。

持分会社における競業禁止及び利益相反取引の制限 [体系書 会社法]

 持分会社における業務執行社員の競業禁止と利益相反取引の制限 株式会社の取締役・執行役との比較

 株式会社の取締役及び執行役における競業禁止及び利益相反取引の規制と持分会社の業務執行社員における競業禁止及び利益相反取引の規制を比較しましょう。

株式会社の取締役及び執行役の競業も利益相反取引も,いずれもその承認については,取締役会設置会社でない株式会社では株主総会の承認,取締役会設置会社では取締役会の承認で,取締役・執行役が適法にすることができるようになる要件は同じです(会社法356条1項,365条1項,419条2項)。

 ところが,持分会社では,競業と利益相反取引で要件が異なります。株式会社の場合と異なりそもそも条文が分かれていますね。会社法594条と会社法595条です。競業は,当該社員以外の全員の承認(ただし,定款で別段の定めをすることができる),利益相反取引は,当該社員以外の社員の過半数の承認(これも,定款で別段の定めをすることができる)とされています。前者は,厳しいですね。持分会社は,少数の緊密な信頼関係を有する社員からなる会社だからと言われます。競業ということは,会社に不利益を及ぼす可能性が,きわめて高いわけであって,社員間の信頼関係を前提とする持分会社では,1人でも反対があってはならないという建前です(もちろん定款自治は認めるとして)。これに対して,利益相反取引は,必ずしも,不利益とは限らない。利益である場合もある。にもかかわらず,他の社員の全員の承認を要するとすると,持分会社にとって利益である取引も不可能となるおそれがあって,会社にとって得ることのできる利益を失うというわけです。

 さて,競業禁止については,株式会社と持分会社とでもう一つ異なる点があります。どこでしょう。これは,会社法594条1項2号をしっかりと読んでもらうことにします。

資本の原則 つづき [体系書 会社法]

 江頭先生は,会社法コンメンタール1のP307に,いわゆる「資本充実の原則」の意義という標題のもとに,次のように書かれています。

 資本充実の原則とは,資本金(払込剰余金を含む。鈴木=竹内26頁)の額に相当する財産が出資者から確実に拠出されることを要求するものであり,それは,会社債権者・株主双方の利益の保護を目的とするものである(新注会(2)95頁 [上柳])。ところが,最近,学説の一部に,・・・中略・・・何ら会社債権者を害しない(「資本充実の原則」は,会社債権者の保護と無関係の制度である)と主張するものがある・・・中略・・・しかし,資本充実の原則が会社債権者の保護と無関係であるとの主張は,次の2点において誤りである。
 第1に,ある金額(財産)が出資された旨のアナウンスがされることの会社債権者に及ぼす影響は,決して小さくない(大隅=今井・上259頁)。会社が危機の状況における募集株式の発行等を考えればこのことは明らかであり,例えば,金融危機に際し,政府が金融機関に対し1兆円の資本注入を行ったと称して,真実は1000億円しか出資しなかったとしたら,何が起こるであろうか。また,「見せ金増資」は,通常,会社債権者を欺く目的で行われる。
 第2に,出資に際し貸借対照表の資産の部に虚偽の計数が計上されると,たしかにそれだけでは株主への分配可能額が増えるわけではないが,その後に資本金・準備金の減少手続をとれば,実財産を社外流出させ会社債権者への引当財産を実質的に減少させることが可能になる(江頭憲治郎「ストック・オプションの費用計上と商法」落合還暦58頁注(16))。

「株式会社法」では,上記第1の部分について要約して書かれている(第3版P35)。

資本の原則 [体系書 会社法]

 会社法が成立して,夏が終わるころに,会社法の解説書を書き始めた人たちの中には,株式会社の総論(総論がそもそもないものは別にして)の何頁目かで,つまり,株式会社の資本の制度のところで,どのように書こうかと迷った人が多かったのではないかと思います。私は,その頃,数日間,朝起きるといつもすぐにそのことが頭に浮かんできていました。それは,立案担当者が,商事法務研究に「会社法における債権者保護」として,衝撃的な(少し,オーバーかな)論文を寄せた時期で,私は,これを読んだからです(商事法務No.1746,1747)。大学時代に教授よりしっかりと資本の原則の意味及びその重要性について教え込まれていた身にとって,困ったことになったなというのが正直なところでした。ある程度のことは他の情報で推測はできたはずなのですが・・・。私は,すでに資本の制度については,書き終えていました。書き換えるべきかどうか・・・ということでした。
 近刊「体系書 会社法」のはしがきに次のように書いたとき,他のたくさんの論点のことだけでなく,3年半くらい前に資本の制度のところで迷ってしまったことを思い出し,その後,江頭先生の「株式会社法」を読み,さらに,その後「会社法コンメンタール1」江頭先生執筆部分を読んだときにほっとしたことを思い出しました。

そのはしがきの一部を抜き出してみます。
 「「会社法」が公布・施行されてから,早4年が経過しようとしている。当時,「会社法」は,これまでの日本の会社法制の体系的かつ抜本的見直しをしたものであって,昭和25年の商法の改正以来のパラダイム的転換であるという指摘がされていた。それゆえに,限られた文献の中でのスムーズな理解は,なかなかに困難なことであった。しかし,月日が経過し,その間に,学者,実務家による体系書や注釈書も次々に発刊されるようになり,私たちは,これらからたくさんのことを学ぶことができるようになって,会社法についての十分な理解が可能となった(まだ完結していないものもあるが)。私は,時間の許すかぎり,これらの文献に目を通し,理解して,これを反映させるように努めた。」

 江頭先生の会社法コンメンタールからの紹介は明日ということにします。

枕頭の書その1 [枕頭の書]

土曜日なので,今日は,法律とは直接には関係しないことを,ということで枕頭の書としました。

 毎日のように新幹線に乗っていましたので,たくさんの本を読んできました。もう一度読みたい本もあるし,時間の無駄だったという本もあります。ありとあらゆるジャンルの本を読んできました。専門バカになってはならないといつも思って生きてきましたから。
 と前置きが長いのですが・・・。最近,新幹線に乗ることがほとんどなくなりましたので,馬上ならぬ車上の読書がなくなって,寝る前に布団の中で読むということになりました。したがって,量が減ってきました。と言っても,新聞とかメルマガとか読んでいると,欲しい本がたくさんいろいろあって,なんとかして,読もうと思っています。
 これから,ときどき,枕元にある本,あった本を記して行こうと思います。

 さて,現在の枕元の本です。寝室からよいしょと持ってきました。
 「音楽を「考える」」ちくまプリマー新書 茂木健一郎 江村哲二 ,「わかりやすく〈伝える〉技術」講談社現代新書 池上彰  「坂の上の雲(一)」文春文庫 司馬遼太郎 「マイマイ新子」新潮社 高樹のぶ子 「夜を急ぐ者よ」 ポプラ文庫 佐々木譲 「できる人のシンプル手帳術」 イーストプレス 箱田忠昭  「弱者の兵法」 アスペクト 野村克也 「社会人のための読解力トレーニング」 こう書房 後藤武士 「宇宙にかかる木 岩崎ゆきひろ詩集」土曜美術社出版販売 岩崎ゆきひろ 「句集 春の夢」 フランス堂 金子美津子 「法律を読む技術・学ぶ技術」ダイヤモンド社 吉田利宏 「楽々Windows7」毎日新聞社 「Word 2007 攻略ノート」 技術評論社 土岐順子 「もう一度読む山川日本史」 山川出版社 五味文彦・鳥海靖=編 
 この中には年末からあるものもあります。読んだら,本棚にもっていくことにしているのですが・・・。気分によっていろいろです。打ち込んでいる途中で,あっこれがあった,忘れてたというのも何冊かありました。
コメントしたい本もありますが,次回ということで・・・。
  


外国会社 [先例・質疑応答等]

 平成20年度の司法書士試験において午後の部の商業登記(第29問)で法務省が正解を2個にしたものがありましたが,そこの箇所のことです。法務省は,これを正解としました。しかし,その後,登記研究質疑応答は,「外国会社の日本における代表者については,日本に住所を有するか,外国に住所を有するかを問わず,すべての日本における代表者についてその氏名及び住所を登記すべきである」(登研737号P183質疑応答)としました。つまり,イの記述「日本における代表者が複数いる外国会社においては,当該代表者のうち日本に住所を有する者についてのみ,その氏名及び住所を登記すれば足りる。」の記述を誤っているとするわけです。ということは,平成20年度29問は正解4だけということですね。
 この質疑応答のいうところは,理解できます。日本に住所を有するかどうかを問わず公示するべきであるということですね。 しかし,条文の解釈としてそのような解釈が可能なのかどうか。条文を何度も読んでみるのですが・・・。会社法933条1項1号は,日本における代表者(日本に住所を有する者に限る)としていて,いわば,これは定義づけの一種であって,「以下この節において同じ。」の文言は,当然,同条2項2号(登記事項)の「日本における代表者」も同様であるはずですが・・・。この節というのは,933条から936条までです。どう思いますか?

六法について [体系書 会社法]

 4年半前にも,相当,会社法の条文を繰り返し繰り返し読んだのですが,今回,「体系書 会社法」を書きながら,それ以上に読みました(見たのではなくて読んだのですが)。2009年度版を2冊(模範小六法と登記小六法)。いずれもかなり汚れました。しかし,途中から会社法と施行規則を模範小六法にして,条文の位置を覚えていったため,登記小六法は,計算規則にとどまることになり,圧倒的に,模範小六法の方が汚れが甚だしいものとなりました。条文の位置を覚えるというのは,できるだけ速く,目的の条文に到達するためです。

 六法はどんどん汚しましょう,とことあるごとに言ってきました。自分の六法なのだから,思い切り汚しましょうと。書き込んでもいい。もちろん,書き込まなくても,使えば六法は汚れます。六法だけでなく,書籍全般のことでしょうか。いくら丁寧に使っても,使い込んでいれば,わかります。きれいな六法は,読んでないな(その前に見てないな),使ってないな,という高度の推定力が働く・・・。今のうちにしっかり読んで使って慣れましょう。今から,ずっとずっと付き合うのだから,いかに速く目的の条文に到達するかによってプロの実力が測れます。そのためにはしっかりと今のうちから六法を使い込みましょう。

 模範小六法の参照条文も,赤線をひきながら,よく読んで,汚しました。かなり汚れてしまいました。しかし,そうしているうちに,2010年版の各種六法が出て,久しぶりに今度は,模範六法に切り替えました。数カ月経ちましたが,会社法と民法の辺りが汚れていて,一般社団法人・一般財団法人と民訴が少し・・・の状態です。持ち運びしないからということで小から変更しました。一年毎に覚えた条文の位置がご破算となることがつらいところです。

 六法は,実は,いろいろな種類ものが本棚に入ってます。六法全書(有斐閣)も入っていて,たまに使いますが,六法全書にもないこともあって,ネットで法令データ提供システムを使うことが多くなりました。移動するときは,六法を持ち歩くのは大変なので,ipod touchに物書堂の模範六法09を去年入れました。大辞林のとなりに入っていて,両方ともなかなか役に立ってくれています。

 でも,世の中広くてなのかどうか,本当かどうかわかりませんが,六法は,受験勉強に必要ないと言っている人達がいるということを聞いたことがありますが,本当にいるとして,言っている人達は,六法は持ってないのでしょうか。どうなのでしょう。

合同会社の社員の責任の性質 [体系書 会社法]

 「体系書 会社法 下巻」を校正しながら,再び,心が揺れました。合同会社の社員の責任について,間接有限責任であると書いた部分に来たときです。最初書いたときから,その後,さらに別の何冊かの会社法の体系書を読み,そのうちの比較的好きな本の2冊について,そこに「間接」の文字がないことに気づいていたからです。
合同会社の社員は,有限責任であることは問題ありません。会社法576条4項ですね。では,間接責任なのか?条文を探してもない。逆に,会社法580条1項は,社員は,「次に掲げる場合には,連帯して,持分会社の債務を弁済する責任を負う。」として,会社債権者に対する直接責任が規定され,合同会社の社員について適用排除規定がありません。
 しかし,心が揺れましたが,再び,前田先生の本と立案担当者の解説を読んで,合同会社の社員の責任は,間接有限責任であると,そのままで,All rightとしました(合資会社・合資会社との比較において,間接有限責任という言葉を何度も使っています)。

 まず,前田先生からです。「会社法入門第12版(2009年12月10日発行)」P10~P11。
「株式会社および合同会社においては,社員―株式会社の場合には株主―は間接有限責任を負うにすぎない。株主・社員は会社に対して一定の限度で出資義務を負うだけで,会社債権者に対しては直接の責任を負わない。
 このことは,株主については,その有する株式の引受価額を限度とすると規定されている(104条)ことから明らかであり,かつ,会社に対する出資義務も,株主になる前に履行しなければならないので(これを「全額払込制」という。〔19〕),株主になった時点では会社に対する出資義務も履行ずみであり,債権者に直接に弁済の責任を負う余地がないことになる。合同会社の社員については,株主についてのような直接的な規定はないが,その社員となろうとする者については,定款の作成後,合同会社の設立の登記をする時までにその出資にかかる金銭の全額を払い込み,またはその出資にかかる金銭以外の財産(現物出資財産)の全部の給付をしなければならないと規定されている(578条本文)ことから導かれる。」

 「立案担当者による新・会社法の解説」P157です。「体系書 会社法 下巻」では,この部分を引用しました。

 「合同会社については,社員の間接有限責任性を確保するため,社員の責任を出資の価額に限定するとともに,設立時または入社時に定款で定めた出資の全部を履行させること(578条,604条3項)とし,会社債権者に対して直接責任を負わないような措置を講じている。これは,債権者が社員に直接責任を追及することがないようにすることにより,合資会社等よりも広く出資を募ることを可能にするとともに,債権者も会社財産のみをその責任財産として取り扱い,かつ行動すれば足りるようにするための措置である」。

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